薔薇のマリアver4

薔薇のマリア Ver4    hysteric youth (角川スニーカー文庫)
薔薇のマリア外伝5冊目にして、シリーズ通算15冊目です。
文庫の帯で「"薔薇マリ"初心者も楽しめるから、これ、ぜったい読んだほうがいいと思う!」とマリアさんが仰っておられます。
さすがにそれは無茶じゃないかな?と思いましたが、自信満々に言われると、その通りだネ、と同意するしかありませんな!


内容は、主人公のマリアがまだ仲間たちと出会って間もない頃、幾つかの冒険を通して成長する姿を描く短編集となっています。エピソード的には本編のごく初期の頃であり、一巻とかその辺の出来事ではないでしょうかね、たぶん。そういう意味では、初めてでもまだ楽しめる段階の話なのもしれません。
そして、常連者の私に厳しい内容。
過去に戻って成長物語をもう一度ですか?そんな殺生な!
マリアさんの孤高の精神は、シリーズを重ねた現在でも崩れることのない鋼の強度を誇っております。一人は寂しいと自覚しながらも人に甘える事の出来ないマリアさんの心を開かせたものは未だに現れず、現在応援中のアジアンがようやく足掛かりを掴んだ段階なのです。
ここは間髪入れずに積極的なアタックを仕掛けたい所なのに、まさかのタイムスリップ。これまでの苦労を思うと目眩が…。
それでも!私は!追い続ける!


個人的がっかりはこの辺にして、エピソードの方へ。
うん、どれも似たようなもんだ。軽い冒険して騒いで終わり、深刻度合いは低く気軽にいけるんじゃないでしょうか。抱腹絶倒の書き下ろしってどれ?とか思ったけどネ。
でも最後のラストサマーは印象に残りましたな。
薔薇のマリアに出てくる人たちは、いつもぐずぐずネガティブに考える方ばかりなんですが、本当に珍しくスッパリした考え方の持ち主が出てきました。アドリアンの言葉に後悔は無く、尊びの心も感じられる奇跡。こんな奴らがもっといれば、この都市ももう少しマシになるんですけどね。


なんだか負のオーラが漂うあとがきからは、そんな未来は遠そうだと思われる…。
改めて現在までほとんど進展を感じられない物語、それでもなんでシリーズを追い続けるのかって?
フ、惚れた者の弱みってやつサ。
ゆっくりだけど、マリアは成長してるからネ。