【三浦しをん】月魚

月魚 (角川文庫)
真っ白な表紙を泳ぐ小さい金魚が何ともプリティー。

古書店「無窮堂」の若き当主、真志喜とその友人の瀬名垣。兄弟のように育った二人には、幼いころのある出来事が影を落としています。そんな彼らを眺めながら過ごす古書店ライフは、なんとも静かでゆったりしていて居心地はいいです。ちょっとした後ろ暗さは良いエッセンスってなもんさ。
舞台が古本屋ですから、登場人物達は古い本に対する愛情に溢れてます。古書に価値を見出す世界はまだまだ私には理解出来ませんが、いつかは自分もそうなれたらいいなと思ってますよ。読んだことの無い本に価値を付けるってどうやったら出来るんだろう。


若い男二人の古本屋ライフ、自宅兼店の「無窮堂」から出発し古本の卸し市へ、依頼があれば高速使って山奥へ。


真志喜と瀬名垣は男にしては細かい事に良く気づきますし、お互いの気遣いも丁寧ですね。
二人の関係はとても繊細でありますが、なよなよはしていません。これ大事。
それより失踪した父親の器の小ささに溜息です。こっちの方が男としてよっぽど恥ですぞ。


遠くの地での思わぬ出来事にナニィー!と叫んだりしながら、なんとも心地よい感覚に浸っておりました。ここは澄んでいて、静かだ。
と、まあそんなこんなで文庫書き下ろしも含めた全3篇も終了。この中で「水に沈んだ私の村」が一番良いですね。最初のは父親の醜態で削がれましたが、「水に沈んだ私の村」ではただその場の世界に浸るだけの感覚でいられて心地がいい。最後のは単に短かった、それだけ!
いいよね、こういうの。



とりあえず月魚で検索すると、皆さん欲望に忠実で大変宜しいです。
まあ私の感想で言うと、男が男の髪を触りたがるとかそんなこと普通にありますしね。というか私がされる。
ついでにケツも触られるのと、相手が朝青龍と同じ身長とそれに迫る体格をしている点が若干違いますが。現実は何時も余分なものが多い。
飲みの席で勝手に膝枕してきた挙句「硬ぇ」とか言ってくるし。現実は何時も一言多い。