容疑者Xの献身

容疑者Xの献身 (文春文庫)
はい、おもしろかったー!
ガリレオシリーズ第三弾。
思いを寄せる隣人の靖子が犯した殺人。それを知った天才数学者が、彼女とその娘を救うために完全犯罪に挑む物語。
この本を読もうか迷ってる人には、一行目の文章だけで十分だよね?(激しくネタばれするつもりは無いけど)




ガリレオシリーズで数々の謎を解決してきた物理学者の湯川が、かつての親友が企てた犯罪に挑みます。
相手は数学に天才的才能を持つ学者、この頭脳のパワーバトルは興奮ものですよ。
学問の天才が犯罪の天才であるとは限らないと思いますが、物事に対する情熱、集中力、思考に飛び抜けた才能を発揮する様には区別がありません。
この考える力こそ天が与えた才能なんでしょうね。
その天才数学者の石神は現在高校教師。
大学で研究者の道を選ぶも、不遇な日々を強いられ断念した過去があります。
もう人生疲れちゃったな日々を送る石神に転機が訪れたのは、お隣に引っ越してきた母娘。恋に落ちるのに理由なんて要らないさ。
そんな時彼女たちが已む無く犯してしまった殺人、それから救うため彼は献身的に尽くします。これぞ愛のなせる技。
命がけの純愛、純粋な恋心、愛情。
あまりの献身ぶりに、これは靖子への愛情…?、もっともっと純粋な何かな気がしてきました。
ただこの問題に挑みたいとかそんな感じの。感動台無しですね。


でもその純粋さは変わらないし、石神には惚れ惚れしました。
だからこそ、最後に詰めの甘さを感じますし、非常に惜しまれる!
有無を言わせず靖子を黙らせるか、靖子が何か言っても最早無駄な状況まで作るべきでした。
いや作ってほしかった…!今でも作れると信じてる…!
靖子がああいう気持になるのは予想できるはずでしょう。
石神の純粋さに濁りが生じたんでしょうかね…。女の色香に惑わされたか


思い返せば、このガリレオシリーズの特徴であった不可解な現象や、物理学を使ったトリック解明を切り捨ててますね。
面白さは本当に申し分ないんです。
でも、このシリーズの特徴を融合して、更なる高みを目指した作品であってほしかったというのが本当の気持ちです。