カラクリ荘の異人たち2

カラクリ荘の異人たち 2 ~お月さんいくつ、十三ななつ~ (GA文庫)
離婚した親から受けた心の傷が原因で、人と疎遠になりがちな高校生の太一。
そんなある日、父親の勧めで下宿することになった空栗荘は、妖怪の棲む「あちら側」との境界にある建物だったというお話。
の第二弾。
一巻の感想はありませんが、現実との境界が曖昧で静かに進む雰囲気がとても好きでした。それはこの二巻でも変わらずにいてくれて、非常に嬉しい限りで御座います。


知らず知らずのうちに妖怪の町に迷い込んでしまったり、結構すんなり出てこれたり、でも実はけっこう危険だったりと、のほほんとした感じなんですよね。変なことをしなければ特に危ないわけでもありませんし、妖怪だってそんなに暇じゃないんだぞーとばかりにちょっかい出してくるわけでもありませんし。でも油断してると人生終わっちゃうような事に嵌められかねない緊張感。タマラナイです。
空栗荘にいる他の住人も、妖怪に驚くことなく平然と暮らす不思議な人ばかり。引っ越してきたばかりの太一は当然戸惑うんですが、新生活で戸惑わない方が少ないよねとばかりになんとか順応しちゃったりして実にCOOL。そんな不思議な住人との交流を通して、過去に次第に向き合えるようになっていく太一の姿が心に沁みます。


今回は「薄売り」と「夢の交い路」の二章組で御座いました。
十五夜が近いある日、またも"裏の"賽河原町が夕焼けに染まってしまいます。原因は空栗荘の大家が見る夢のせいらしいのですが、そんな騒ぎの中、クラスメイトの采菜が「薄売りに弟が連れ去られた」と大家を頼ってやってくる第一章。
第一章が終わってもまだ寝続けてる大家を起こす為、原因を突きとめるために住人たちと太一が奔走する第二章。
どちらも市松人形のアカネが可愛らしかったですね。
太一もそろそろ、目をそむけていた事に立ち向かう時が来たのかな、という気配を見せたところで終わってしまいました。

二巻でるのに一年も待たせやがってコノヤロウと本音を少々溢しまして、また続きが出るのを待ちましょうかね。