ベン・トー2 ザンギ弁当295円

ベン・トー〈2〉ザンギ弁当295円 (集英社スーパーダッシュ文庫)
日常の中に数分間だけ現れる異空間を題材にした「ベン・トー」第二弾。
『氷結の魔女』『湖の麗人』『魔導士』『帝王』なんてあだ名が、弁当を買いに来る人に付くくらい壮絶な争奪戦が繰り広げられるんです。
この色んな意味での痛々しさ、たまりません。

私もね、スーパーに惣菜を買いに行くことがあります。食べたいものを探したあと軽く値段見て決めるん感じですかね。30%引きとか貼ってあったら、お、安いな、今日はこれでいいか、って無造作にカゴに入れていましたが、いつ地面に這いつくばっていてもおかしくなかった。
彼らは紳士ですが、敵と見なされれば凶暴な「狼」へと変貌しますからね。そして限りなくストイックで誇り高い姿は美しい。

ああ、この格好良ければ良いほど増していく背徳感…、もう戻れない、戻ってはいけない、素になってはいけない。
半額シールを貼られてから弁当を手に取るまでに、バレットタイムのごとく圧倒的な濃さの時間が流れる様は魅せられます。


そしてスーパーを離れた日常生活が、別の意味で濃い。
ネタがマニアックになればなるほど、面白さが増す代わりについていける人が激減するものですが、セガネタとニコニコネタをほぼ捌ききった私には問題ありません。
むしろ流行のネタを出すことによって高校生らしさを演出しているのだな…なるほど、と分析する余裕すらあります。
でもサターンってさすがに高校生には古すぎるのでは、とか感じましたが世代の壁なんて問題無いと思い直しました。だってセガだし。
そしてこの日常パートもついていくほど何故か背徳感が増していく…。うひょー。

と、まあ私は面白かったわけですが、これを面白いといっている他の人がいたら、
そうか、お前もか…(同類を見るような目で)
となること必須な内容でした。

それにしても石岡…、お前もいろいろ愛されてるよな…。でも良かったな、主要人物の一覧に名前が入っているじゃないか…
って木和田輝が主要人物に入ってRUUUUUUU!!!