英語のゲーム「Undertale」


この夏からPlayStation 4PlayStation Vitaでも遊べるようになったという事で、こちらの「アンダーテール」をちまちまと遊んでおりました。英語だけのSteam版は以前からありましたが(非公式日本語パッチはあったようですが)、この度公式に日本語でもプレイが出来るようになって遊びやすくなりましたね。まぁ、勉強代わりにやったんで結局英語でプレイしたんですが。
コンセプトは「誰も殺さなくたっていい」RPGだそうな。事前情報としてこれは知っていましたので、非暴力主義の超平和スタイルでさっそくプレイ。どんなステキなお話になるのか楽しみですね。



ドット絵の素朴な味わいのゲーム画面が良い感じです。ゲームのオプションで日本語か英語を選べますが、いちいちリセットしてタイトル画面まで戻らないと変更出来ないのでそんなに手軽ではありません。ゲーム中に音声も付いてませんのでリスニングは出来ませんが…それはゲームデザイン的に無粋な要求といったところでしょうか。要するに勉強用に特別フレンドリーな作りというわけではないので、それなりのハードルの高さは覚悟する必要がありました。




さてゲームの開始です。OPで主人公の子が近づいてはいけないと言われている山に登り、足を滑らせて山頂の穴に落ちてしまう様子が語られます。この穴の底、地下の世界にはその昔人間との争いに敗れた怪物たちが封印されており、主人公である私は丸腰のまま敵陣のど真ん中に迷い込んでしまったのです。生き残りをかけた戦いが始まる…!




…と思ったら、優しいおかーさんに拾って貰いました。彼女の名前はトリエル(Toriel)。たまに穴から落ちてくる人間がいるんで、近くに住まいを構えて保護活動をしているんですと。主人公(私)が子供の姿をしているからなのか、それとも元々の性格なのか、人間とモンスターという種族の違いがあるのに、分け隔てなく無償の優しさで包み込んでくる攻撃をしてきます。ぐあああ!優しい世界過ぎる!ガード不能の攻撃に私の心はとてもあたたかくなりました。




頭なでなでしてもらう私。ここが私の部屋だそうです。異世界に落ちてきて誰も頼る相手がいない人間に対してこの仕打ちですよ。もう泣きそうです。




それでも私は先に進まねばいけません。私には帰らなければいけない家があるのですから。この先が危険なことを知っているトリエルは最初渋りましたが、それでも私の固い決意の前に最後は折れてくれました。別れの際にぎゅっと抱きしめて送り出してくれるトリエル。マ、ママー!!最初の舞台である遺跡を離れ、アンダーテールの奥深くへと歩き出します。誰一人として傷つけないことを心に決めながら。友達たくさん出来るかな!?




さて肝心の英語の方ですが、感触で言うなら理解するのはかなりムズカシイと感じました。なんでかっていうと、会話があまりにも面白すぎるからです。どこかとぼけたセリフやジョークが満載の道中でまさにこれがアンダーテールの魅力なのですが、英語のままで理解して笑うには相応の事前知識がやはり必要です。なんだかよく分からんが面白い奴だな!何言ってるか分からんけど!その場のノリで結構楽しんではいたのですが、日本語訳を見るとその翻訳センスに心底感嘆するのです。自分じゃよく分からなかったあの会話はこんな面白いことを言っていたのかー!ってな感じで、如何に自分の理解が浅いかをまざまざと思い知らされるのでした。




戦闘画面での一コマ。敵の名前はよく見るとThunderplane(サンダープレーン)じゃなくて、Tsunderplane(ツンデレプレーン)でした。分かるかこんなもん!ツンデレは英語でTsundereと書くそうな。ちなみに画像の文章は日本語訳だと「ツンデレひこうきに ゆくてをふさがれた!わざとじゃないようだ。」となっているようです。素直にスゲェ。
ちなみに私だと「サンダープレーンが現れた!特に目的があるわけではないようだ」程度の理解でゲーム中はプレイしてました。そもそもツンデレをサンダーって読み間違えてたって知ったのゲームクリアしてからだし…。
そんな感じなので、あまり手軽とは言えない日本語⇔英語の切り替え設定とウィットに富んだ会話のおかげで、英語の勉強としてはとてもじゃないけど初心者向けではない印象です。でもこの会話がすんなり笑えるようになったら、英語勉強の一つの到達点として実感が湧くんじゃないでしょうか。いつかそうなりたいものです。

さて、誰も殺さなくていいRPGの名の通り、道中の戦闘は全てあの手この手で回避することが出来ます。もちろん敵は攻撃してきますから、もたついていると殺されてしまいますけどね。しかしその痛みにじっと耐え、ひたすら慈愛の心と真摯な語り掛けによって最終的には敵意でなく友情を芽生えさせることが出来るのです。ただし経験値がもらえませんのでレベルはずっと1でHPも初期値のままです。このステータスでラスボスまで渡り歩くこのスリル!ホントに勝てるのかよ?と疑問に思いながらも、ひたすらボコボコにされながら数多のモンスターたちと語り歩いてきた地道な積み重ねで、最後の最後まで突っ走るこのゲームのなんとステキな事か。悲しい過去を背負う登場人物たちを最終的には優しさで全て包み込むお話に、思わず目頭が熱くなってしまうのでした。
最後までみんなと友達になろうとし続けた私のお話は、幸せな結末を見せて終わったのでした。めでたしめでたし。
さーて、次は皆殺しエンディングを目指しちゃうぞ☆
貴様らモンスターと人間は結局は相容れない存在!地下の世界から封印を破って地上に出るなどという侵略行為を、断じて見過ごすわけにはいきません。主人公が穴に落ちた理由は本編であやふやなまま終わりましたが、このルートでは明白です。貴様らモンスターを全て抹殺するためだ!(注:個人の妄想です)



「この幸せなままで終わりにしてくれないかい…」
ゲームを開始する前に、不穏な気配を察知してか特別なイベントが始まりました。プレイヤーの行動を見越して、こんなイベントまで用意されているんですね。




タイトル画面まで物々しい雰囲気に変化し、ただのリセットが「True Reset」へと変わりデータを全てを消してしまうことが出来るようになりました。別にこの後またみんなと友達になっても構いません。しかし私は超平和バスターズへの道を選んだのでした。


このルートは道中の敵を意図的に殺してまわると分岐に進むことが出来ます。しかしこのルート、いろんな意味で超キツイ。前世で苦楽を共にした親友たちを、何ゆえ殺害していかなければいけないのか。あの優しかったトリエルおかーさんを一撃の下に両断したときは、ゲームシステム的に出来るからといってこれやっていいことじゃねーぞ!と本気で思いました。家族には絶対見せない、怪物を見るかのようなこわ張った表情を張り付けたまま息絶えるその姿…。たまりません!




一部の敵との戦闘は、友達ルートとは比べ物にならないくらい激しいものへと変化します。すべての住人(モンスター)を殺害しながら進む主人公に、地下の住人たちは怯え逃げまどいます。絶望の中決死の覚悟で立ち向かってくるヒーロー(モンスター)対 私。完全に道理は相手側にあります。しかし私は負けんぞ!
このルートでは敵と会話することなく殺しちゃうので、イベントで聞けるセリフもかなり減ってしまい英語勉強には向かない感じになっています。純粋にゲームの戦闘を楽しみましょう。だって友達ルートでは全然使わなかった戦闘コマンドが、これまたしっかり作られてて面白いんだもん。これはみんな殺戮もしちゃうよね。しかたないね。ただしラスボスの強さは凄まじいものがありました。クリアしたけど恐ろしく時間がかかった。



キャラクターの会話が非常に楽しいです。これを英語で理解するのは大変ですけど、いつかは出来るようになりたいなぁ!

知り合いに英語が出来る人多すぎぃ!


会社じゃ多少アッピ〜ルしないとお賃金が上がる可能性すら消滅しますからわざわざ隠す真似はしませんが、普段の生活の中では自分が洋書を読んでる話題とかはあまりしません。


(´・3・`) なんでかっつーと、もっと英語が凄い人の話題がすぐ出てくるから。


職務経歴書なんかにもTOEICの点数が書かれていますので仕事先の人で知ってる人は知っているのですが、飲みの席などでは、


「クリハラくんは英語できるんだからこれからの仕事に繋げて(あーだこーだ)」
(;´д`)ゞ いやービジネス英語は未経験で勉強中でしてー…
別の人:「そういえばあそこの課の人も出来る人いるよね」
別の人:「TOEIC900点だっけ。英語が買われて今チーフやってるの」
(;´д`)ゞ  いやーその人凄すぎですねー


別のパターンでは


「クリハラくん英語勉強してるんだ。俺も頑張らないとなー」
(;´д`)ゞ エーマー上達しなくて大変でスー
別の人:「俺の付き合ってた人も帰国子女でめっちゃ英語が出来てさ、それで海外留学の話が出たとき悩んだけど結局は別々の道に行ってな」
別の人:「結婚なんかも考えていたくらいだったけど、まだ時期的にお互いやりたいとがあって(云々かんぬん)」
(;´д`)ゞ 海外とか憧れますねー


飲みの席以外では街の本屋さんなんかでも


(洋書コーナーで物色中)(;´д`)ゞ 簡単そーなのないかなー…
(英語の参考書コーナーに来た学生1)やっぱTOEICがあると就職で有利でさ
(英語の参考書コーナーに来た学生2)そこそこの点数じゃないと意味ないんだよな
(英語の参考書コーナーに来た学生1)学校のあいつ知ってる?あいつの姉ちゃんTOEIC900超えてて英語だけで就職第一希望行ったの
(;´д`)ゞ 超ハイスコアの人身近に多すぎ…


まぁ、どうやら英語が凄くできる人って身近にうようよいるみたいなんですよ。今までの経験からも、水を向ければ金メダリスト級の実力者の武勇伝が結構な割合で顔を出すのです。逆に私の場合は、自分の実力分の話題しかありません。地域の大会くらいで頑張っている人間と世界を相手に戦っている人間を、同じ土俵に上げて比べられるような切なさ。

最近 海外出張(自分は行かないけどね!)とかもある作業の現場にちょっと関わるようになりました。英語もよく使うよ。
フツーに通訳なしで海外のお客さんと打ち合わせに行ってる人がいっぱいいて、もう戦々恐々の日々よ。技術的な専門用語の話は日本語でも分かりません!レベル高すぎ!
むしろフツーは通訳付かないんだってさ。まったく、やんなっちゃうね。
ヽ(´∀`*)ノ

TEDで英語の勉強するの難し過ぎぃ!


長年の苦労の末にそこそこ英文は読めるようになりましたが、やる気と根気が続かない私にとってTEDの英語スピーチを理解するのは未だにハードルが高いのです。足りぬ…足りぬのだ…!かつてTOEIC 810点をゲットした私のリスニングとリーディングでは、とてもじゃないけどTEDを気軽に見ることが出来ないのだ。どんだけ頑張ればいいんだよもう!


とりあえずTEDのトップページから適当に動画を選んで、どんな感想を抱くか見てみましょう。
タイトルは「A new strategy in the war on cancer」。癌と闘う新しい試みについてのスピーチですね。

全部で23分44秒と結構長くて、しかも一回通して見る(聞く)くらいじゃ内容は全然理解できません。英語の字幕を付けたところで焼け石に水です。日本語の字幕なら内容が分かりますが、ビックリするくらい英語の勉強になりません。どっちも極端です。
でもまだ手はあります。スピーチの内容を文字に起こしたTranscriptが動画のページから選べることがあるのです。これなら分からない箇所をじっくり調べながら読み進められるね!会話のスピードで読んでも23分程度だから、辞書で調べながらなら程よく読み流しても3倍の1.5時間くらいは軽くかかるかな!
ヽ(`Д´)ノ やってられっかーい!!
ダメだダメだダメだ。適当に動画を選んで楽しめるほど実力はありませんので、なんとか私の根気が続く程度のものを見つけないといけません。とりあえず一例として、トップページの一覧から良さそうなものを選ぶ過程を見てみましょう。









いろいろな動画があって目移りしますが、とりあえずこの「NEWEST TALKS」が付いているものは除外します。



最新のは面白そうな話題のものもあって実に興味が引かれるのですが、新しすぎるとTranscriptが用意されていないので勉強のハードルがとても高いのです。いちおう英語のTranscriptは結構すぐ用意されますので、それで十分なら問題はありません。でも私の実力程度ではとても理解が追い付かないのだ…!昔しばらく頑張ったんだけど、有志が用意してくれた日本語訳を見ないとどうしても理解できない箇所があるのだ…!というか日本語訳を見ても分からない場合すらあるんです先生!いつだって選ぶことが出来るのは強者の特権なんだ、弱者に自由などないのだ。



次に動画時間を見ます。前の23分はよほど時間に余裕がある時でないと気力がわきませんので、もうちょっと短いものを探します。ここは人それぞれの丁度良い時間があると思いますが、私の場合は10分以内程度のものが性に合ってますので下の二が候補に残ります。

動画時間が短すぎると逆に物足りなく感じる微妙なお年頃の私。まぁ時間に余裕があれば16分くらいの動画も候補に入れればよいお話ですね。ともかくこの二つが残りましたが、さらにここで女性の方の動画を選びます。差別だとかそういうのは無いんだよ!でもね、でもね、今までいろんなTED動画を見てきたけどね、男性より女性のスピーチの方が発音が圧倒的に聞きやすかったんだよ…!もちろん全部がそうじゃないよ。最初に紹介してるTEDの男性のスピーチは相当聞きやすいよね。でも何人も聞いていくと、発音が奇麗な傾向があるのはやっぱり女性がプレゼンテーションしているものなんだよなぁ…。



というわけでぱっと見で選べるのはこれ一つしかないのです。というか一番簡単そうなやつ。

えーとタイトルは、「The reporting system that sexual assault survivors want」。性的被害者が望む通報システム、って感じ?内容は簡単そうじゃなさそうだ。あとは実際に見てみないと分かりませんね。

TEDのスピーチは英語のレベルが高いというか、さすがに世界中の人が見るコンテンツですので言い回しがカッコ良かったり機知に富んでたりするわけですよ。小粋なジョークとかで笑えるのは、それ相応の見識が必要だってひしひしと痛感します。たまに聴講者がスピーチで笑ったりしてますけど、正直何が面白かったのか理解できなくて悔しい思いもしょっちゅうです。
とりあえず今は、Transcriptを見ながらTEDの動画を一回流す → Transcriptを辞書で調べながらじっくり読む → もう一度Transcriptを見ながらTEDの動画を流す。っていうセットで動画を見ていますが、感想はたいてい「細かいところがよくわからん」で終わります。しかも気力が続かないから、3日くらいかけてます。
もっと頑張らなきゃいけないなぁと思いますが、要求されるレベルが高すぎて未だ到達できず…。
TED簡単じゃねーよ もー…。。・゚・(ノД`)・゚・。

出来心で受けたよ13回目のTOEIC結果

最近証明写真が余ったから、ついでにTOEICの受験票に写真を張り付けて受けてみたよ!
前回から2年近く時間が過ぎたし、別に洋書を読んだりするのは続けてるしで、ちょっとは上がってるかもしれないしね!
そういえばちょっと前に問題形式が新しくなったらしいよ!初めてだけど、昔の形式は沢山やってきたから大して対策しなくても大丈夫だよね!さーて頑張るぞ!




・前回 810(L425,R385)
   ↓
・今回 750(L395,R355)
il||li (つω-`;)il||li  そうか、お前下がるのか…


余計なことをするんじゃなかったという気持ちでいっぱいです。このまま終わったら凄い後味悪いじゃねーか…。
英語の泥沼、突入です。

ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の大百科事典

ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の大百科事典


もし英語の小説を読めたらステキな事じゃなかろうかと、ふと思い立ったことが昔ありました。
ただその頃はもう就職もすんじゃって学校で勉強した事なんか忘れちゃってましたので、英文が文章じゃなくて絵や記号にしか見えなくてさあ大変。カチカチに凝り固まった脳みそをほぐすのに大分苦労した思い出があります。あの頃に初めて受けたTOEICが450点でしたが、なんやかんや勉強して810点を取れるくらいにまでなりました。結構時間がかかっちゃいましたけどね。
英語のお話を楽しむための勉強で多くの本と出合ってきましたが、その中でもビッグ・ファット・キャットBFC)シリーズは確実に私の原動力となった作品の一つです。
のんびりと「ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の大百科事典」を読みました。
なんか最初はシリーズ一作目の「ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本」の改訂版を作るつもりだったのに、作っているうちにせっかくだからと新作になった経緯があるらしいこちらの本。ですので基本的なコンセプトは「世界一簡単な英語の本」と同じで、英語の構造的な話や英文のイメージの仕方をなるべく文法用語を使わないで説明してくれる解説書となっております。学校でよく習うような文法の説明はほぼありません。受験英語とどっちが分かりやすいかとかそういうのは無いと思う。英語の授業で分かりにくかった英文が、この本の方法で読んだら理解できるかも…くらいのニュアンスとでも言いましょうか。どちらが優れているとかではなくて、違った角度から英語を眺める良い機会になる本だと思います。あれもこれもやって、地道に英語の理解を深めていくのさ〜。
そして微妙に変えてきたにもかかわらず相変わらず誤解を招きそうなタイトルをあえて説明するなら、「世界一簡単な"言語である"、英語の大百科事典」だと思われるので、別にこの本が超簡単なわけではありません。かなり優しい部類ではありますけどね。あとあんまり百科事典って感じでもない。
ただ悩ましきかな、もともとは初代のリメイク的な位置付けなのでシリーズで一番最初に読むような解説書なのに、完全新作になったせいでストーリー的には最新作という若干の気になっちゃう点が存在します。英文の解説のついでにパイ屋のエドとデブネコのお話が進んでいくのですが、この本に出てくる登場人物のバックグラウンドは前BFCシリーズ8冊で既にだいぶ語られていて思いっきりその続きから始まっているのです。かといって前作最後の「ビッグ・ファット・キャットと雪の夜」をクリアしてから読むほど準備をしなきゃいけない英文解説書ってわけでもありません。さてどうしましょう。まぁ、そんなの私には関係なかと。なぜならBFCシリーズはお話自体が面白いからね。ちょっと短いけど、面白い英語の小説が読みたいといつも探してる私には満足な一冊でございました。
今回のお話はパイ屋のエド君がまた自分のお店を持っている状態からのスタートです。前作で店を失ってひと悶着あり、ホームレス生活にまで落ちぶれてひと悶着ありの出来事を微塵も感じさせない、穏やかな日常を送るエド君。いつも通りデブネコがエド君のパイを盗りにやってくるシーンがありますが、彼のパイに対する執着が過去にどれほどあったかも触れることはありません。本文の英文の解説で作者さんが、分からない箇所は飛ばしても大丈夫です練習してみましょう、と20数行の英文を2,3行に大胆にカットして意味は何となく分かるでしょうとやっている事に近いものを感じます。というわけで前作を読まなくても楽しめる配慮はされているようでした。もちろん読んでるといろいろ楽しめるけどね。ヘッヘッヘ…。
前作まではエド君をガンガンどん底人生に突き落としてきた作者さんでしたが、今回はエド君の恋のお話という非常に温かなエピソードが語られます。完結編だった"雪の夜"の帯で「彼女もいないのに終わっちゃったよー!」と叫んでいたエド君の願いが、ここにきて神(作者)様に奇跡的に届いたのです。信じられん。新キャラの女性との出会いはこの本からでしたが、短いながらも思い出に残る過去話をしっかりと伏線にしいてワクワクさせるお話に仕立て上げる作者さんの手腕は相変わらず素敵です。子供の頃にとある約束をした思い出の女の子ですってよ。そんなんいたら誰だって羨むわ!私の場合はもう遠い記憶過ぎて、深く考えるといたんじゃないかという偽の記憶をでっちあげてしまいかねません。そんな女の子がいた記憶もないが、いなかった記憶もない。あれ、ならいたっけな?(混乱)
それはともかくエド君の思い出から30年、たまたま道すがら出会った女性にエド君は一目惚れして、なんとか恋心を打ち明けようとあれこれ思い悩むのでした。そんなお話。
ある意味一番エド君に惚れているのはお前だろうこと、前作のラスボス お金持ちのジェレミー君は、前作から助走なしのマックススピードでエド君にちょっかいをかけてきて笑いを誘います。同じパイ屋ながら大手チェーン店のオーナーであるジェレミー君と小さなパイ屋のエド君との経営力の差は歴然なのに、「俺の方が腕が上だ」「もう一度勝負しろ」「臆病者」ってわざわざお店まで出向いてだべっているあたり実に仲良いな君たちって気持ちになります。第一印象が嫌味な金持ちのジェレミー君は、今作でも相変わらず株を上げる良い奴っぷりを見せてくれて、おまけにあくまで本人はエド君にデレないという期待を裏切らない活躍を見せてくれました。態度はツンツンだけど、お店の出店スペースを用意しちゃう、思い人を追いかけるエド君の為にスーパーカーだって運転しちゃう。なんで断らないんだろこの人。ラヴですね。
短いと言いながらも40ページほどある物語部分は、英語が苦手な人にはなかなか大変な分量でしょう。このBFCシリーズでは英文から受けるイメージを大切にしているためか、全部を日本語に訳してはいません。今は読めなくても、いつかまた読み直したときに分かるようになっているはずという想いが込められているのでしょう。じゃあいつになったら読めるようになるかといえば、それは私にもまだ分かりません。
まったく英文が読めない人から見れば、辞書で沢山調べながらでも読み進められている人は英語が分かっているように見えるでしょう。そんな人でも、辞書なしで適当に読み飛ばしてすらすら読んでいる人を見ると自分はまだまだと思うでしょう。適当に読み飛ばして大まかな意味が分かる人でも、結構細かいところが分かってないなと思ってたりするでしょう。区切りがさっぱり見えません。
でもそういう悩みに対して何らかのヒントを示そうと、この本はあれこれ気を回してくれているようでした。そんなお話がいっぱい詰まってます。