【仁木英之】僕僕先生 零

僕僕先生 零 (新潮文庫nex)



まさか僕僕先生の外伝シリーズとして新たに立ち上げですかこれは、と若干戸惑う不思議な一冊。
タイトルにある僕僕先生「零」の名の通り、主人公をやってる美少女仙人の僕僕先生のルーツを描いた本となっています。しかもめっちゃ中途半端に終わる。続巻前提かい?文庫本オリジナルシリーズでしょうかね。
お話の主役に一応僕僕先生はいますが、今までメインを張っていた王弁くんポジションには新たに拠比(きょひ)と言う名の男前が赴任することになり、まったく別のお話が始まることになります。僕僕先生が王弁くんと出会う前の、ずっとずっと昔のお話です。
お話の始まりは、本編のいつごろのお話か分かりませんが、僕僕先生と王弁くんが旅の途中で野宿しているときの、暇つぶしの話として始まるんですよね。旅の仲間と別れたような事を言ってましたが、本編では賑やかな珍道中の最中ですので、文庫本化されている話より先の時間のようです。そっちはそっちで気になるなオイ。
むかーしむかし、天地創造で神様がせっせと働いていた頃、ある程度形が整ってきたところで三聖という存在を生み出して、お前らちょっと天地を育てるの手伝えやと命令しました。黄帝炎帝西王母という3人の気の良いおっちゃんおばちゃんはそれぞれ役割を分担し、さらに仙神というアシスタントを生み出しながらどんどん天地を広げていきました。というか黄帝炎帝西王母って今までのシリーズでガチンコで神々の戦争した過去がちょろっと描写されたやつらじゃないですかーと早くも嫌な結末が見えてしまいましたが、だいぶ先の話になると思うので気にしないことにします。
長いこと平和にやってきた三人とその他大勢でしたが、やがてなんか天地創造の資源が尽きそうじゃね?とかなんか最近あいつ隠し事してね?と疑惑が出てきて、なんやかんや調査するために主人公の拠比が旅立つことになります。やっぱり戦争不可避じゃないですかやだー!
その時のお供になるのが、当時まだまだ新人の僕僕先生、言うならば僕僕ちゃんでございます。その職業は料理人。旅の先々でご飯作るよー!と元気いっぱいの僕僕ちゃんです。
僕僕先生の昔の姿は以前にも描写されていましたが、その時は戦争真っ只中でも若干引くぐらい神々相手に大暴れしていたバトルモンスターでした。え、何この子、戦いの神か何か?とその時思ったものですが、現在目の前にいる僕僕ちゃんはただのよわっちいが気は強いボクっ娘で、なんかある種の安心を覚えます。僕僕先生にもこんな可愛い頃があったんですね…うぅ…。本編の僕僕先生は強すぎる(物理的に)
ところ変わってメインの拠比は、なんか引っかかるキャラクターだなと気になってみれば、先生の隠しごと辺りのお話で僕僕先生の元カレとして出てきたやつじゃないのこれ(当時故人)。王弁くんは僕僕先生から元カレの思い出話を聞かされていることになりますね。
本筋のシリーズと同じテイストながら、見えている結末はハルマゲドン!大作映画並みの規模となりゃぁ、これはロマンスの一つや二つは経験してるな僕僕先生…ゲッヘッヘッヘ…