霊感少女リサ

霊感少女リサ (東進ブックス 英文多読シリーズ)


コメント欄で存在を教えてもらった本。日本産の、「世界初、英文ライトノベル誕生!!」なんですと。
楽しんで英語を勉強してもらうための、難易度を抑えた英文ライトノベルだそうな。英語に翻訳されたライトノベルは既にありますが、最初から英語で書かれたライトノベルは確かに珍しいのでいちおう世界初とかいう宣伝文句は嘘じゃないのかもしれません。へー、中身はどんなんざんしょ。
内容は大体英検準2級から2級くらいのレベルを想定していて、語彙を制限して辛くならない程度に読み終えられるよう一話あたりのページ数も少なくなっています。全部合わせたら90ページ程になりますが、文字も大きいし一ページの行数も少ないしで読み終わるのは確かにラクチンでございます。英語学習用の本で小説形式のものはありますが、よく見かけるものは何十年も昔に出版されたお話ばかりで別に簡単だったりもしなくて興味が持てるかこんなもん!とかいうものは多いです。そんな中で最近出版されたオリジナルで初心者向けのこの本はそれだけで存在価値が十分にありますね。文章中の難しそうな単語には下に簡易辞書で説明されてて、巻末に和訳も完備、HPからは無料で英語音声と日本語音声がダウンロード出来たりとかなりの充実具合が素晴らしです。あと600円。安しー。
さてお話ですが、児童養護施設で暮らす物静かな17歳の金髪少女が主人公です。9歳の頃に交通事故で両親を亡くし、自分もその後遺症でそれ以来視力を失ってしまいました。おかしいな、いきなりノリがライトノベルじゃなくて、本場の洋書だぞ。真面目に作り過ぎてこれじゃまだ児童書くらいの品の良さを持ってるじゃないですか。まだこのシリーズは始まったばかりという事で、模索中の部分はあるのかもしれません。
主人公のリサはある日死者の声が聞こえるようになり、彼らの心残りをなくしてあげようと行動する事を決心します。意地悪しちゃった人に謝りたいとか、僕の体を見つけて欲しいとか、たまに危険な目にあったりもするけれど一つずつ解決していくリサの奮闘記です。本当に聞きたい両親の声は聞こえなかったり、事故の原因を匂わせたりして謎を散りばめながら盛り上がるラストを持ってきて楽しませる事を忘れてないお話でした。目が見えないくせにやたらとアクティブに物を見つけたり動かしたりできるリサ。目が見えないくせに夢の中に出てきた同級生の顔が一瞬でわかるリサ。夢の中では目が見えるようになっていたと説明はありますが、問題はそこじゃねぇよ!8年間視力を失っていて同級生の顔なんか知らないはずなのに分かることが重要なんだよ! やめてよね、英文なんて不慣れなものを読んでるんだから「おかしいな、どこか意味を捉え間違えたかな?」とか余計なところで不安にさせるようなことしないでよね!
まあ、愛嬌だ。
あとリスニング用の読み上げ音声ですが、外人さんが速すぎず遅すぎずとっても聞き取りやすく話してくれて良い感じです。日本語音声も使うかわかりませんが備えあれば憂いなしであったりします。若い兄ちゃんが丁寧に喋ってくれます。って声優さん使ってないじゃないですかヤダー!第二弾の方は声優の日高のり子さんが朗読してくれるそうなのですが(日本語だけよ)、それを知っちゃうとおまけ的な要素とは言え見劣りを感じちゃうのはしょうがない。
ただお勉強的な要素から見ると、意外と存在しない本当に英語の初心者向けの本ですね。後は必要な人の目に付くかが問題だ。