人形たちの夢 前篇

人形たちの夢〈前篇〉 (電撃文庫)


分かりにくぅ!分かりにくいぞ!
タイトルに"前篇"なんて付いてるから後に刊行される予定の後篇を読むことも必須なわけですが、それ以前にこの作品はシリーズ3冊目という一見さん向けの罠が仕掛けられております。
一応建前的にはシリーズものではなくてこの作品からでも楽しめるように〜みたいな配慮はされているようですが、いったいどこの誰ならそれを聞いて安心すると思うのか。じゃ、じゃぁどのくらい前作と繋がってるの?と不安を感じてしまった人の為にアドバイスをしますと、そりゃもうバッチリ繋がってるよと述べさせて頂きます。
ちなみにどれがシリーズなのかと言いますと
「君のための物語」 → 「そして、誰もが嘘をつく」 → 「人形たちの夢 前篇」
が、お話の一連の流れとして繋がります。今作の最初の方でほのめかされている船旅の事件は「そして、誰もが嘘をつく」での出来事であり、メインの登場人物ミュンとエオノーラがどんな人物か描かれているのは「君のための物語」であり、要するに全部読めってことです。初めてこれを読もうと思った人にはハードルの高い話だ。よっぽど本作が面白くない限りやる気にはならないんじゃなかなとは思いますが…え、肝心のこれは面白いのかって?
うん、おもしろいんじゃないかな。よっぽどじゃないけど。
だって前篇とか書いてありますからこの巻で結末まで行きませんし、だからだらけちゃうところがあるのもしょうがないですし!あとヒロインのエオノーラかわいくないし。もうこれは作者さんが気付いてないとしか思えないのですが、一番かわいいのはミュンの兄さん。ヒロインもミュンの兄さん。一番プッシュすべきなのもミュンの兄さんなのです。異論は認めない…というか異論はないと思う。
まあ、温かい目で後編も見守っていきたいと思います。