探偵失格 愛ト謂ウ病悪ノ罹患、故ニ我々ハ人ヲ殺ス (1日目)

探偵失格―愛ト謂ウ病悪ノ罹患、故ニ我々ハ人ヲ殺ス (電撃文庫)


電撃文庫の新刊を買ったら花の種が付いてきたぞ。なんですかこりゃ、「東日本復興応援」とか書いてあります。福島県で買ったから? よくわからないけどシャナさんの花の種ゲットです。
それはさておき、本日のテキトーセレクトはこちらの「探偵失格」です。後ろにごちゃごちゃ付いている長い副題が不穏な雰囲気を放っていますが、どうやらライトノベル発の探偵小説のようです。ちょっとマニアっぽく言うと新本格派ミステリの様相を呈しています。すげー、ページの最初に舞台となる建物の見取り図が載せられてるとか、舞台に登場する人物の簡単なプロフィールが羅列されてるとか、ガッチガチの推理小説のお約束みたいなものにいきなり遭遇したぞ。なにが始まるんです?
これでクライマックス直前にページが途切れて、「ここまでで謎を解く全ての鍵は揃っている。先へ進む前に貴君は犯人を当てることが出来るだろう」とかなんとかの一文が挟まってたりしたらある意味完璧ですが、さーてどうなる事かな!
そんな古臭いミステリー小説の外観を纏ったこのお話ですが、表紙を捲ると中身はなんとも立派なライトノベル。美少女にハイテンションなクラスメイトにと、現実ぶっちぎりの(頭が)ハイ・ファンタジーな学校生活がそこに広がっていました。うむ、実に頼もしいスタートの仕方です。年中ハイテンションの主人公くんの一人称形式でお話は語られていくのですが、同じ日本語を喋っていてもどうやら私と違う日本人らしく、何を言っているのかよくわかりません。「ムキー!」だなんて口に出して言う高校生見たことねぇよ…
( ゚д゚)  というかこんな嘘八百な状態で推理小説を始めるのか…?
出たなライトノベルミステリーの得意技、「もしかしてこれ、ミステリーではない?」と読者に思わせ推理力を奪う悪魔の手法! こいつをくらった人間は何も考えることが出来ずにページを捲り続けるだけになり、作者はどんなトリックだってタネ明かしまで気付かせる事無く持っていくことが出来るって寸法さ! えげつないぞこれは!
なんとこのまま私は敗北してしまうのか、と思われるところですが、こっちだってそんなの初めてじゃないんですからそう易々とは術に嵌ったりなんかしませんよ。
先ほど冗談で主人公くんを「違う日本人」と言いましたが、割と本当にお話の舞台は日本語が通じる別の世界のようなのです。一応リーマンショックも経験しているらしいので現実の日本とかなり似通ってはいますが、「呪法庁」とかいう、マジで国にそんな組織があるの?的なところから、「祟り神」という、マジでそんな呼び方が知れ渡ってるの?的な女子高生が派遣される、正直コメントに困る世界観の食い違いが存在しています。
そしてミステリーのお約束の如く、人里離れた洋館に様々なゲストが集います。集いますが、出会って早々男が刀で切り掛かり、女子高生がそれに応戦して、あわやというところで銃火器を装備したメイドに諌められるというアウターゾーンに突入します。
な、なんですとー!これがミステリーの主役達だというのか! こいつは強敵だ!
言うなれば、ジェイソンとフレディと切り裂きジャックとエイリアンとプレデターが閉ざされた館に集って次々と殺人事件に巻き込まれるような感じです。人が殺された!誰が犯人だ!?となっても誰が犯人でもいいじゃんという気しかしません。というか、手っ取り早く殺し合いを始めそうです。
( ゚д゚)  もしかしてこれ、ミステリーではない?
そうこう混乱しているうちに、お話では館で一人目の犠牲者が出ました。怪しげな恰好をした人物が、鍵の掛かった部屋から窓を破って華麗に脱出。あ、密室じゃなくなった。えーと、凶器とかは…各人いっぱい持ち込んでそうだな…、うーんと…アリバイ…
いや、そういう問題じゃない!殺られる前に攻めていかないとダメじゃないかこれは!推理してる場合じゃねぇ!