羽月莉音の帝国5

羽月莉音の帝国 5 (ガガガ文庫)

シリーズ物も5巻も続くと、ずいぶん長いお話になったなぁと改めて実感いたします。
そして5巻も出ていればそれなりの人気シリーズなわけであって、さらなる長期連載を目論んだ引き延ばしや水で薄めたような展開がそろそろあっても良い頃ですね。だけどこの羽月莉音の帝国はいつでも目標に向かって全力疾走。逆に少しくらい休んでもいいんだよと読者が声を掛けたくなる展開の速さに驚きを隠せないくらいです。まあ目標がでっかいからなぁ…日本転覆。
主人公の高校生達が武器に使うのは、超が付くほどの行動力といったところでしょうか。作者が会社経営者と言う立場のせいか、あくまで現実にある制度を使って日本転覆のための資金を集める姿には妙なリアリティがあります。よくこの「リアリティ」という言葉はフィクションの作品を評する時に用いられますけど、この作品を読んでそれがなんだか少し分かった気がします。リアリティって、読んでいて胃が痛くなることだったんだ。
別に私は主人公君たちの立場に近いから感情移入しているわけではないんですけどね。あっちは社長とか役員だけど、自分は末端のヒラだし。ただ主人公くんたちが行動した後に出てくる残務処理の事を考えて気が遠退く思いをすることは出来るのですよ。例えば自分が仕事をしようにも何をやっていいかさっぱりわからない!雇われる側になるとしたら、誰でも出来るような末端からのスタートしかないよなぁ…とか遠い目になっちゃいますね。かといって主人公くんたちの経営者側になったと想像しても、次の1ページで倒産させてこのお話を終わらせる自信が自分にはあります。いやぁ、働くって大変だなぁ…と言うかなんでライトノベルでこんなこと考えさせられてるのかなぁ…?
実に変なライトノベルです。
まあいい!それでもこれはライトノベルなんで、そんな社会人の憂鬱なんて辛気臭い事には全然ページが割かれていないし読み飛ばす事なんてちょろいもんだぜ!無茶なことをやらかすこのお話は相変わらず楽しいです。余裕で「続く!」で終わったこの巻ですが、まだまだ面白さに終わりは見えないね!