ジーン・ワルツ (2日目)

ジーン・ワルツ (新潮文庫)


今のところ現実世界ではタブーになっているらしい代理母出産をテーマにしたお話でございました。正直言うと、言葉は知っていたけど実際に行われているかどうかは知らんかったよ。一応禁止だということはわかった。
人間ドラマありミステリー要素ありでエンターテイメント性が高い物語ではあるのですが、作中の医療現場描写や医学技術解説が非常に詳しく書かれてありまして、なんだかとってもお勉強になる本でもございました。講義の内容は主にお産に関してですね。
面白くて為になるだなんて素晴らしいじゃないですか。
ただ少し気になるのはお役所批判がだいぶ過激になっていることですかね。ひたすら役人を無能呼ばわりする322ページです。以前から作者は医療制度改善の為に医療現場の窮状を訴えたメッセージ性のあるお話を書いてはいたんですが、あまり進捗が芳しくなくてちょっと焦れてきた?なんて感じもしました。今はまだいいですけど、あんまり冷静さを欠かれると面白さが損なわれていくのでは、などと少し心配にもなるね…。
まあこの本の面白さには関係ないですけどね!とことん倫理観を揺さぶってくるようなラストが素敵です。