株式会社ハピネス計画 (2日目)

株式会社ハピネス計画 (小学館文庫)


後ろのあらすじからは全然想像させなかったけど、なんと幻想小説の趣が漂う少し不思議なお話であった。こういう雰囲気けっこー好きです。私が作者の作品を次々と読むきっかけになった「ラス・マンチャス通信」に似た路線に戻ってきたかのよう。イイヨー。

その幻想具合を醸し出しているのは、もっぱら主軸が定まらない言うなれば自由奔放なストーリー展開にあると感じます。いやまあ、タイトルにある通りハピネス計画という名の会社に主人公君は就職しはするんですけど別にそこで成功する分けでもなし、時には社長の愛人宅で世話係をさせられたりするものの人間関係にスポットが当てられるわけでもなし…。今主人公君がやっている事に意味を持たせようとしているのかそのつもりがないのかの判断は難しい。だから主人公君が精神に異常を来し始めたとしても、ああちょっと疲れが溜まってんだなと、何でもないことのように受け止める事が出来たりします。現実と幻想の境界が曖昧になってきましたねー。

特にそのまま夢から覚めるような事もなくお話は終了。ただ主人公君が幸せなり生きる気力なりを見つけたことは分かった。
もう作者は作風を変えるなんて事しないで、ずっとこの路線でいってくれればいいのに。なんて思ったハピネス計画。