グラン・ヴァカンス 廃園の天使1

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)


この間続編のラギッド・ガールを読んだのですが、内容的にはグラン・ヴァカンスの前日譚だったので再び舞い戻って来たぜヒャッホウ!
夏の区界とゆー電子世界の仮想リゾート空間で暮しているAIたちのお話です。なんか1000年ほど現実世界からお客さんが来てないらしいですのよそこ。如何せん仮想空間からは現実世界がどうなってるか分からないので、今日も暇だなーという感じで与えられた仕事を一応住人達はこなし続けているわけですよ。忘れ去られた海沿いの町という雰囲気が、郷愁チックな寛ぎ空間を演出してくれてタマリマセンな!眩しい日差しに誰もいない静かな浜辺…こんなところでヴァカンスが楽しめたらさぞ気持ちよかろうなぁ…とつくづく感じます。
まあ、直ぐに侵略者がやってきて建物とかAIとか全部ぶっ壊し始めるんですけど。ほとんど災害。何が起こっているのか分からんけど取り敢えず逃げなきゃヤベェ!レベル。
結構ぶ厚い本なんで忘れがちでしたが、中に描かれている出来事ってたった1日のお話なんですよ。AIと言えども接客用に作られた姿と思考は人間そのまま。日没から再び日が昇るまでの僅かな時間に、夏の区界全住人たちの存在を掛けた決死の攻防戦が繰り広げられます。そして読み直して驚くその凄惨さ!エグい!グロい!何故か美しい…。不思議なんですがどんなに酷い場面が描かれていようとも、この夏の区界の雰囲気は初めから印象が変わらないんですよ。次第に世界が崩壊していく様子もまた美しい…。
清々しいような切ないようなラストは何度読んでもイイもんだ。どことなく涙が誘われます。ただし物語はまだ始まったばかりだ的な締め方なので続編が未だに出てない現実でも涙。ウォォォー