ラギッド・ガール 廃園の天使2 (2日目)

ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)


前作のグラン・ヴァカンスは、夏の海辺を模した仮想空間に暮らすAIたちの姿を描いたお話でした。現実世界の人間たちがひと時の娯楽を求めてやってくる数あるリゾート地の一つだったのですが、ある日を境に入場者がずっと途絶えたままになっています。そのまま同じ夏の日を繰り返しながら、1000年ほど経った今でもAIたちは海辺の世界で生活し続けています。
そのグラン・ヴァカンスの世界を、人間側の世界から深く掘り下げようと試みているのがこのラギッド・ガールのようです。研究室レベルでの開発段階の仮想世界や、商業的運用の黎明期などのお話が、短編という形でこの本に納まっています。今のところそのような感じで直接的なお話の続きと言うわけではないのですが、1000年にわたり人間の介入が途絶えた夏の世界の姿が次第に明らかになっていく課程に、興奮とおもしろさを覚えずにはいられませんの。
そしてSF的な言葉遊びで形作られる緻密な世界観がステキすぎます。見たことのない新語や造語がいっぱいあっても、丹念に丁寧に言葉を紡がれれば、新しい世界がこうも気持ちよく感じる事が出来るのですね。