三流木萌花は名担当!

三流木萌花は名担当! (MF文庫J)


高校生だけどライトノベル出版するよ!というお話ですね。全く売れなかった本を一度だけ出版した主人公君が、ある日出版社の娘に目を付けられて新作を書くことになります。 ―――「担当命令よ! 萌えでエッチなラブコメを書きなさい!」―――

始まって僅か2ページ目で、階段から落ちたヒロインが主人公君を下敷きにして胸を揉まれるシチュエーションに突入します。開始早々なんて羨ましい展開なんでしょうか、素晴らしいスタートダッシュぶりに思わず手に取った事を後悔しました。なんだかとてつもなくベタなものを見た気がするぜ…。しかしこのヒロインのプロ根性は只者ではありません。アクシデントを利用して主人公君を人気のない場所に誘導し、出っ張りがあれば抜け目なくスカートを引っ掛け、主人公君の手足が動けば素早く先回りしてボディタッチを演出する。この娘…出来る!この道の熟練者とお見受け致しました。

一事が万事そんな調子なのですが、数々のセクハライベントの裏で進むライトノベル出版までの道のりは、ドキュメンタリーの如く迫力があります。出版業界なんて完全に自らのフィールドですからね、もう苦労話が生き生きしてますのよ。多少アレンジが加えられてるとの事ですが、作製工程が細かく書かれていて裏話的な面白さがあります。「萌え」で「エッチな」ラブコメを目指す主人公君の苦悩は、そのまま作者の苦悩が反映されているのでしょう。

慣れないラブコメ執筆に四苦八苦する主人公君ですが、ヒロインの体を張った活躍のおかげで「萌えでエッチな」ラブコメは見事なジュブナイルポルノへと順調に進化していきました。学校の図書室で風紀委員がライトノベルを没収するシーンに、私は何も言う事が出来ません。破廉恥だとか正論過ぎて、何も言えねぇよ…。

ちなみに作中作だけでなく本編の方も見事な出来栄えだから、ママも安心さ。