マルコの夢

マルコの夢 (集英社文庫)

大学を出たけれど就職できず、フランスで日本食材の輸入代行をしている姉にアルバイトが欲しいと言われパリへ。そこで取引先に出入りしているうち、三つ星レストランで短期間働く事になった。彼のお仕事はマルコという愛称のキノコを管理する事である―――――。


そんな感じで始まるキノコをめぐる物語です。初めは冴えない青年の成長物語だったんです。お話のキーワードであるキノコを軸にして、キノコ管理の大変さと食した時の深い味わいに魅せられ、言葉も満足に通じない異国の地でやがて自信を付けていく…普通ならそういうお話になると思ったんです。途中からキノコの野郎が出張って来やがったんです。物語がキノコに侵食されていくんです。なんだか分からん事言ってますが、実際そうなのです。キノコです。

なんじゃぁこりゃぁ…、こんなの…こんなの卑怯だ… 笑っちゃうじゃないか!

ある意味、秘められていた能力「キノコ」が覚醒するお話なんだろう。なんだかよくわからないんだけど、凄く頼もしく見えるのが不思議です。夢の中の王子様が良キャラ過ぎる…!