雷の季節の終わりに (2日目)

雷の季節の終わりに (角川ホラー文庫)


( ゚Д゚)  おもしろかった!後半の展開はなんかチガウと思ったけどおもしろかった!
恒川光太郎氏の描き出す異世界は、その情景描写を読んでいるだけでも楽しいです。どこか知らない世界を登場人物が散策しているだけで何冊でもいけるぜ!
物語の舞台は日本のような日本じゃないような、地図にも載ってない隠れ里の「穏」。そこで姉と二人で暮らしていた少年は、雷の鳴る季節に一人ぼっちになってしまいます。たった一人の姉は雷の鳴り終わりと共に何処かへ消え去ってしまい、ぽっかり空いた心の隙間からいつしか鳥の様なモノが話しかけてくる事に気が付きます。この辺鄙な土地と少年の中の鳥、そんなわけのわからないもので周りが溢れていたら、読んでる方もなんだなんだなにが起こったとびっくりしちゃうじゃないですか。でもそんなことは全然無くて、本当に静かに、心から落ち着いていられるような感じなんです。この異世界で起こる不思議な出来事は、どうやらそれほど知らない事でも無いらしい。

どこか知っている様な気はしても、そんな辺鄙な里や奇妙な鳥なんてものは、やっぱり見た事も聞いた事も無いわけで、何ものか知りたくて先へどんどん読み進んでしまう、魅力と言うか惹きつけられる力がありました。しかし、あんまりにもこの異世界が心地良くてページが少なくなっていくのが惜しくもあった!未練タラタラ、でも読み終わった気分は実に爽やか。楽しかった夢から覚めた寂しさ少し、さてまた一日を頑張りましょうかと気持ちも新たに気力たっぷり。良い夢を見られマシタ。


それと巻末の解説者による恒川光太郎氏の人物像がヨイ具合に駄目人間でした。なるほどこんなオモシロイ人がこんな作品を書いたのだと、なんだか納得する部分もあります。
解説者は仁木英之氏。あのあざとい美少女仙人の僕僕先生を書いた人じゃないか!というか僕僕先生の解説は恒川光太郎氏だったじゃないか。二人でお互いの作品の解説を書き合っているのですか。そして二人して沖縄に行った思い出話を書いているという…仲良しですね。