【早瀬乱】三年坂 火の夢(3日目)

三年坂 火の夢 (講談社文庫)

犯人?トリック?そんなことより坂の話をしようぜ!とばかりに、本書のほとんどは坂の名前の由来ばっかり調べてやんの。一応勉強のために上京した弟クンだけれども、学業の方を疎かにしてまで街のあちこちで坂の名前を尋ねまくる怪しい人物に成り果ててしまった。おいおい一体君は何をしているんだ?まったく、面白いから最後まで聞いてしまったじゃないか。


ども、本日で読み終わりマシタ。弟クンは兄の怪死の原因を調べに東京に繰り出し、見事に坂フェチの才能を開花させました。あれ、絶対途中で兄ちゃんの事を忘れて趣味に走ってるよね。うん、実際私も途中まで本当の目的を忘れてた。
だけども忘れてた分、解決編とも言うべき最終章の前で思わずニヤニヤ笑ってしまいました。だいぶ見た目は違いましたけど、あれはまるで読者への挑戦のようじゃないですか。ちょっと古いミステリーなんかで見掛ける、解決編に入る前に「ここまでで全ての謎を解くカギは出揃っている」とか何とか言って読者にほーれほーれ犯人当ててみなーって挑戦してくるやつですよ。いやー、なんというか面白いなーと思った。あと坂とか。それと坂もよかったね。
なんかイイですなこれ。