【早瀬乱】三年坂 火の夢(2日目)

三年坂 火の夢 (講談社文庫)


のんびり乱歩賞2日目でござる。なんか舞台設定は1900年ジャストの東京みたいです。
ギリギリ帯刀世代のお父ちゃんを持つ青年が、今のところ話の中心人物。自由民権運動もまだ記憶に新しい頃に両親が離婚、裕福とは言えない生活ながら母と東京帝国大学に通う超優秀な兄と自分と、まあ慎ましやかに暮らしておったそうな。昔も変わらぬ学歴至上主義の世の中で、自分も兄ちゃんのように良い学校に通いたいと思う弟クンでしたが、兄ちゃんの学費だけで家計は一杯一杯だという事は知っていました。だから今の学校を卒業したら働こうと、母親にも学友にも内緒で働き先に目星をつけている弟クン。でもやっぱり勉強の事が諦めきれない弟クン。自分は兄ちゃんほど優秀ではないけれど…とちょっと悲観的だけれども、でもこっそり勉強だけは続けています。オウ、なんて健気なんでしょうか。あんちゃんはキミのこと応援しちょるよ。


このまま働くのか無理にでも進学するべきか、刻々と決断の時間だけが迫ってくる中で、東京にいるはずの兄が突然実家に戻ってきたと弟クンの下宿先に手紙が来ました。聞くところによると命に別条は無いものの怪我をしているらしいとのこと。少しばかり仕事を片付けたあと実家に自分も戻ってみると、なんと兄ちゃんは大学を辞めて来たらしいのです。で、数日後に怪我がもとで兄ちゃんはお亡くなりに。…って、エーッ!悪い事は重なると言うけど大変な事になったなぁ。


兄ちゃんは怪我の原因をはぐらかしたまま死んでしまいました。本人曰く「三年坂で転んだ」との事ですが、その実は謎に包まれています。噂では「三年坂」で転ぶと三年以内に死ぬらしい、と言われているそうですが一体これは何なのか。どうやらこれから弟クンが謎を探りに動き出すようです。