オルゴォル

オルゴォル (講談社文庫)



お部屋の御片付けをしていたら見慣れない本が出てきまして、これって読んだっけ?と少し悩む。本を買い過ぎると起こる弊害ですね。
こんなとき微妙に便利だよ我がブログさん。読んだものを無差別にUPしているので、調べれば読んでないという事に確信が持てて一安心さ。それにしてもいつ買ったんだっけこれ。
さてそんなことは置いといて、本日はこちら「オルゴォル」を読みました。
東京に住む小学生のハヤトくんが、近所の顔見知りのおじいさんから古びたオルゴールを預かったことからこのお話は始まります。おじいさんの思い出のオルゴールを、一生に一度のお願いだからと、ある人まで届けて欲しいと頼まれごとをされるんですよね。なんともベタというか、それでも不思議で心躍るようなお願いじゃあないですか。いったいこのオルゴールとおじいさんにどんな思い出が秘められているのだろうと想像すると、ワクワクするものがあります。
東京から出発して、目的地は鹿児島県。小学生のハヤトくんには、いや、オルゴールを渡す見ず知らずの人に会うため九州まで行くなんて、大人の私でもなかなかの冒険です。一見達成不可能なこのミッションに、いったいどう立ち向かうのか。お話への期待が膨らみます。
小学生の視点から描かれた友達付き合いや離婚した両親の事などが事細かに描写され、多感な子供が翻弄されながらも一歩一歩進む姿が実に頼もしく面白くもあります。しかしいかんせん量が多い。オルゴール探しとは関係ない部分でどんどんページが消費されていきます。
でも私が結構心配した、オルゴールを手渡す人物探しはおまけ程度にあっさりと見つかってしまいます。あ、あの、そりゃ苦労せず見つかってよかったとは思いますが、オルゴールに纏わる冒険とかミステリーを期待していた割にはそんなに比重は重くないんですね…。
ただ、最後に添えられたオルゴールの思い出話は良いお話でしたよ。