ビッグ・ファット・キャットとフォーチュン・クッキー

ビッグ・ファット・キャットとフォーチュン・クッキー (BFC BOOKS)


(;゚Д゚)  でぶ猫が仕事したー!!?(散らかるパイの場面で)
タイトルにビッグ・ファット・キャットとか付いていながら全然それらしい活躍をしないなこの猫と思っていたら、ここにきて実においしい場面で狙ったように活躍しやがったよ!に、憎たらしいけど正直グッジョブでぐぬぬするしかない…!
BFC(ビッグファットキャット)シリーズもいよいよ終盤の7冊目、「Big Fat Cat AND THE FORTUNE COOKIE」です。
舞台は引き続き州No.1のパイを決めるコンテストの真っ最中。前の巻で時間切れ間近で絶体絶命だったエドくんですが、珍しく仕事をしたでぶ猫のおかげでもう一度挑戦するチャンスを手に入れました。どう切り抜けるかハラハラしたものですが、なるほど仕切り直しで来ましたか。
ここでもまたジェレミーくんがナイスな仕事ぶりを見せるのですが、登場した時の悪役ぶりはいったいなんだったんだろうと疑問に思うほどのイイ男で完全に印象が固まりましたね。それといちいちセリフがカッコイイ。子供たちの前では店のイメージキャラクターを、主人公のエドくんの前では嫌味な金持ちをあくまで演じ続ける彼は、一流のエンターテイナーでもあると思いました。
さて、仕切り直したは良いものの、肝心のエドくんのパイははっきり言って優勝できるほどのインパクトがあるとは思えません。このまま同じことを繰り返しても意味ないぞどうすんだ…と心配になりますが、ここで今までの伏線を集めたとっておきのパイを作者さんは用意してくるわけです。砂糖とか小麦粉とかそういう食材だけじゃありません、お店がなくなってしまったことや辛いときに助けてくれた人たちの想いとか感謝とか、素敵なものをその他いっぱい詰め込んだ、とっておきのパイをここでエドくんは焼き上げるのですよ。これにはエドくんの優勝に半信半疑だった私もノックアウトです。決してエドくんの実力以上のものが出来たわけでもなく、かといって他の参加者のパイに負けない出来栄えでもあり、これなら十分に大会でも戦って行けると確信できる一品を本当に用意してくれました。やるじゃない。
ただ、エドくんの焼き上げたパイはなんというか、非常に挑戦的なパイでしてね…
いやぁ、なんてことはありません、ただのシンプルな飾り気もあまりないパイですよ。
ただ他の参加者たちのパイが実に豪華絢爛で、審査員席に大道芸をしながら持って来たり、コスプレして小道具を使ったり、最後の仕上げに火炎放射したりと、審査基準に芸術点でもあるんじゃないのかこれはと思わざるを得ないド派手なパフォーマンスが繰り広げられるんですよ。
対するエドくんは、このシンプルなのがぼくのパイだとの持論で、ただ静かにパイへの想いをスピーチするというある意味異色のパフォーマンスで会場の聴衆の心を掴みます。
確かに素晴らしいんですが、これで優勝したら他の参加者のパイ全否定じゃねーかと。
うん、笑いました。
あと他にですが、黒いサングラスの厳つい男、ビリーボブの言葉がよくわかりませんね…。無口な男が突然エドくんに言った「おめーの人生にスパイス足りてねーから!」と、雇い主の息子のジェレミーくんに言った「おめーんちの猫メスだから!いい加減間違えんな!」がキャラに似合ってなくて混乱してます。こいつ初めてまともに喋ったと思ったらこれか…。どこか読み落としてなければ後程に明かされる伏線だと思うのですが、いまいち自信を持てない微妙な自分の英語力が憎らしい…。とりあえず、なんかの伏線でありますよーに。
作中では、初雪も降り始めるクリスマス。いろんなことが終わり、ジェットコースターのようだと言っていたエドくんの生活もようやく一息付けたように思える冬の夜。静かな余韻を残し、夜の帳が下りるように今回のお話も終わりを迎えました。
そしてエドくんのお話も、次の巻でとうとう最後です。