ごきげんな裏階段

ごきげんな裏階段 (新潮文庫)


新潮文庫の今月の新刊としてこの本が並んでました。作者は佐藤多佳子さん。なんて事だこれは是非とも確保せねばと、一も二も無く手に取った次第でございます。結構好きな作家さんだったりします。
この方の「しゃべれども しゃべれども」という作品がそれはそれはおもしろくて、それはもう我が読書人生のベストなんちゃらに入れたいくらいの素晴らしい読後感。その素晴らしさは当時勝手に人の本棚をあさっていた私の母親をも虜にし、この本おもしろいねぇと意気投合したところで一緒に国分太一主演の映画版を観たりと大いに楽しんだものです。というか母さん、よく俺の本棚からピンポイントで面白いやつを見つけ出せたな…。あそこには円環少女(ロリラノベ)とかイチゴ色禁区(ロリラノベ)とか超妹大戦シスマゲドン(妹)みたいなのもさり気なく混じってたはずなんだがな。そういえば最近聞いたところによると、父親の方も通勤のお供用に実家に置いてある本棚から失敬しているらしいけどな。もうどうにでもなれ。

さてこの「ごきげんな裏階段」ですが、児童文学から出発したという佐藤多佳子さん本領発揮の初期作品集とのこと。確かに子ども向けのように優しい文章で書かれていて、そしてちょっとファンタジーチック。アパートの裏階段に現れる不思議な生き物と、子供たちの交流が楽しいです。個人的に好きなのが、大人たちもはぶられずに不思議な生き物たちと触れ合っているところですかね。そんな面白そうなもの子供だけで独り占めするなんて不公平だもんね!子供じゃなくったって一緒に遊びたいもんね!という童心を十分に満たしてくれます。わーいわーい。
児童文学っぽいやつは初めて読んだけど、相変わらずよかですたい。