世界の危機はめくるめく!

世界の危機はめくるめく! (ファミ通文庫)
私にしては珍しく1日で読み終わっているので結論から言います。なんて素敵アホな物語なんだ。
この物語は、迫りくる世界の危機に立ち向かうため神から選ばれし者慎吾が、ふざけて『スカートを捲る能力』を願ったことによる悲劇を綴った物語である…。
俺はパンツが見てぇわけじゃねぇ、俺はパンチラがみてぇんだ、と歌った歌があるように、ただのパンツとチラには言葉に出来ない隔たりがあります。物語冒頭、撮影したパンチラ写真について評論する慎吾と大輝に「盗撮は犯罪じゃないか」と最初は憤っていた私ですが、彼らの真っ直ぐな情熱に触れるにつれ忘れていた何かを思い出したのです。それはまさにドリームとしか表現できない…、たとえ人類の半分に軽蔑されようとも私のこの気持ちは真実だ、この気持ちに嘘は吐けないんだ、そう決心させるものでした。
しかしスカートを捲る能力で世界の危機を救えるのか。他に神から選ばれた仲間たちの強力な能力が披露される中、スカートを捲るしかできない己の能力を告白しなければならない悲哀。神のお告げを真剣に聞かなかった己の怠慢に泣き、戦闘の役に立たないであろう能力の非力さに泣き、人として己の卑しさに泣く。絶望と悔悟に打ちのめされているとき、その能力の素晴らしさを理解し認めてくれた仲間たちに私が泣きました。
仲間がいれば可能性に限りはない、たとえこんな能力でも世界は救える、悲哀の十字架を背負ったヒーロー慎吾の誕生です。

しかし、一旦世界を救った後のごたごたは私的に良いものではありませんでした。戦いは終わり、慎吾の能力は救世とは関係無い物になったからです。まだ物語の3分の1が残っているにも関わらずエピローグの様相を呈した物語に、私はさよならを告げることまで考えました。再び世界に危機が訪れたとき、慎吾はもはや無力です。いや、正確にはその能力が無力なのです。
それでも世界の危機に巻き込まれる慎吾は非情な決断を迫られます。判断の着かない問題に、仲間の関係にもヒビが入ってしまいます。世界か?仲間か?崩壊か?、時間だけが刻一刻と迫り絶望する中、私はある賭けをしました。慎吾を信じるという賭けです。
最後の最後で突破口を見つける選ばれし者たち。しかしそれは不安定で曖昧ながら退くことの出来ないという極限の状況です。始まってしまった戦闘の最中、仲間の一人で決着の鍵である穂香は仲間の勝利を信じ続けました。私も信じましたがそれだけではありません。慎吾は…、いったいどうやるか見当も付かないが…、慎吾はきっと、きっと『スカートを捲る能力』でもう一度世界を救ってくれる…!それが私の賭けであり、願いであり、祈りだ!!
慎吾の叫びと私の叫びがシンクロします、「めくれろぉぉぉぉ!!」
そして起こる奇跡!私の想像を超える慎吾のスカート捲り!ほんとに救われる世界!
やりやがったぁ…やつぁ本当にやりやがったぁ…。
。・゚・(ノ∀`)・゚・。
あいつは本物のヒーローだよ…。