【中島京子】さようなら、コタツ (2日目)

さようなら、コタツ (集英社文庫)
初っ端からインパクトある部屋にぶち当たって、実に幸先よいスタートとなりました今回のお宅訪問。昨日は長々と書きましたが、この本の中には全部で7つの部屋があります。ですので昨日のようにじっくりご紹介するとめっちゃ長くなるので、今日はサクッとお邪魔していきましょう。
では残り6つ行ってきまーす。

『さようなら、コタツ
どうもーこんにちはー。
このお宅の住人は引越ししてきたばかりのようです。今日は誕生日、有給とって恋人と新居で夕食ですか、ヒュー。部屋を奇麗にして花を飾って食事の準備、んーもう、いい年(36)してウキウキなのがまるわかりだゾ☆ …ところで約束の時間が過ぎているようなのですが…
―そっとドアを閉めました―

『インタビュー』
おや、ここは一軒家のようですね?
雑誌の取材を受けているのがご主人で、ただいま奥さんに出ていかれている真っ最中…ですか。記者にインテリアの質問をされるたびに奥さんを思い出しちゃって、ずいぶんしょげていますね。しかしこの若い女性記者、素っ気ない回答されたからってゲイ疑惑は酷いでしょうに。あんた無神経すぎなのよ!
ところで旦那、何やって愛想尽かされたの?…なになに?ホームステイしていた外国人の青年の提案に魔が差して、奥さんと青年と3ピー(規制)
…カメラマンの思いやりが、温かかったです。

『陶器の靴の片割れ』
もうじき結婚を控えた男が将来への不安に悩み、最近夢に出てくる昔の女たちを思い出す…、って帰る!こんな部屋なんか覗く必要ないやい!あ、あれ、ドアが開かないぞ…
インターネットの夢判断で分析しながら、黄昏てんじゃないわよ!酒の席で「昔は俺も悪だった」の話を聞かされるのと同じレベルよ!
ちょっとー、ここを開けなさい!おーい!(結局最後まで付き合いました)

『ダイエットクイーン』
ぼろアパートに外国人の出稼ぎ労働者、凄いところに来ちゃいましたね…。住民は金が無い者同士で仲良くやっているようです。
そして今回覗く部屋にはアルバイト女にヒモ男、場の雰囲気によく馴染む組み合わせですが、部屋でゴロゴロしてるだけのダメ男にはどうしてこういう女性が付くんでしょうかね。私も仕事を止めればこんな夢のような生活が…?(多分悲惨な事になります)
あんあり宜しくない環境ながら、そこで暮らす小学生の谷口マナちゃんの夢はダイエットクイーンになること。なんのこっちゃと思うかも知れませんが、これ、現実に真っ向から戦いを挑む決意が現れた夢なんです。いいか、絶対勝て…!そして生き残れ…!私は勝利を信じてるからな…!
アパート取り壊しのために次々と住民が出ていく中、引っ越していくマナちゃんの後ろ姿に向かってエールを贈る私でした。

『八十畳』
でっかい部屋だな思ったら、住んでる人もまた大きい。ここは相撲部屋のようですね。時刻は十一時少し過ぎ、なんだか部屋のお相撲さんたちがそわそわ落ち着きがありません。えーと、入ったばかりの新人が逃げた?
ああ、分かります、かわいがりってやつですね。ちょっとやりすぎたのかと皆さん思い返しているところです。
厳しく稽古をつけた先輩は、あれがいけなかったのだろうかと反省しています。昔辛い稽古を受けた別の先輩は、どうして俺は逃げなかったんだろうと昔の自分を思い出しています。そしてそこで寝っ転がってる別の先輩は、最近できた彼女と寝る前のメールを…ってお前帰れ!
昔辛かったけど逃げなかった先輩の理由は、深く心に響くものでした。

『私は彼らのやさしい声を聞く』
最後のお宅は、一人暮らしをしているおじいさんの家です。
妹に先に結婚された姉の露子が、家に居辛いからってこの大叔父にあたるおじいさんの家によく来るようですね。二人でご飯食べたり、ゆったりした雰囲気が漂ってます。
奥さんに先立たれてからずっと独身を貫く硬派なおじいさん。おや、露子の妹も旦那を連れてやってきて、昔話が始まったようですね。思い出話はどれも楽しいものばかり。おじいさん、本当に皆さんから好かれてますね。ああ、温かいなぁ。
ご飯の時間も大分過ぎましたが、当のおじいさんはまだ寝ていますか。まったく、おじいさん、惚けるにはまだ早いですよ。おじいさーん。
…おじいさん…?

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ただいまー!
以上、これで人様の部屋巡りの旅は終了です。久々に部屋の神様になった気分でした。チビチビッ!
部屋も悩みも人それぞれ、いろんな気持を味わいました。良いキャラ達だったってことですね。…え?他の作品にも登場している方がいるの?
こ、このやろう、伊坂幸太郎みたいなマネしやがって…!
…で、どの本?