【花村満月】二進法の犬二進法の犬作者: 花村萬月出版社/メーカー: 光文社発売日: 2002/02/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (3件) を見る

花村満月だ!暴力描写に定評のある花村満月だ!ザコ臭がぷんぷん漂うチンピラたちが「大人しくブツのありかを話せば痛い思いをしなくてすむぜー、ゲヘヘ」「アニキのゴーモンはちょー痛ぇぞー!」なんて言った日にはお約束の助けが登場することなく、本気で痛い拷問を描写しかねない花村満月だ!
ヤクザがケジメをつけるため腕を一本詰める場面では、いったん腕をバキバキに折ってから刀で小刻みに切り進んでいく、という丁寧な説明をしてくれやがりまして、なるほど理に適っている、なんて思わず感心しちゃいましたよ。で、冷静になって震えると。

ヤクザの世界に巻き込まれた一般人の葛藤、みたいなのをテーマに書かれているはずなんですけど、どうも引っかかるところがあるんです。主人公の鷲津は過去が希薄すぎると。
昔の暮らしや出身大学とかの情報は提示されているんですけど、肉親やら友人やらが出てこなくてけっこう自由な奴なんです。ですから人生を賭けた決断のときも、母ちゃんが悲しむな…とか、あいつに嘘ついちまうな…とかそんな葛藤ナッシング。結局は「自分」ができるかできないかとなる。
なんて都合の良いキャラなんだ。それに何でか知らないけど異様にモテるという、まるでギャルゲーの主人公みたいな能力も備えてます。
そう、ギャルゲーです。両親が海外に出張しているくらい都合の良いギャルゲーです。
攻略対象は、組長の娘、組員(♂)、組長(♂)
新感覚ヤクザ恋愛シミュレーション
好感度を早く上げないと命が危険だぞ!でも上げすぎると出入りに参加させられて他の組に命を狙われるから気をつけてね!
この緊張感…タマラナイゼ!
ギャグでこういうゲームを作ろうとしている人は、いっぺんこの本を読むべきですね。命(タマ)張った本気の恋にドキドキが止まりません。