童話物語

童話物語〈上〉大きなお話の始まり (幻冬舎文庫) 童話物語〈下〉大きなお話の終わり (幻冬舎文庫)

変な話や不思議な話スキーな私はSFやファンタジーやホラーやミステリなどいろいろイケる口なのですが、その中のファンタジーという括りにおいて頂点に君臨するのがこの「童話物語」です。

教会で暮らすペチカには両親がいません。寂れた村の生活は苦しく、村人達の暮らしはぎりぎりで余裕なんてありません。そんな中ですから、孤児のペチカは宿無し生活のほうが希望が見えるくらい過酷な毎日を過ごします。文庫本の背表紙のあらすじには極めて性格の悪い少女なんて書かれていますが、断じて違う!この世界の過酷な現実は、妖精と言うファンタジーな存在ですら盗人に成らざるを得ない容赦の無さなんだぞ!


私だったら正直泣いちゃうくらい辛いのに、ペチカはぎりぎりで生きることを諦めない強さを見せてくれます。妖精フィツとの出会いをきっかけに世の中に翻弄され始めるペチカ!彼女はたった一人で戦う孤独なサバイバー。甘っちょろいことをぬかすフィツに、奇麗事でメシが食えるか!とペチカが反論、降りしきる雨の中、拳と拳で語り合うシーンは物語序盤の名シーンです。


いろんな人と出会い成長していくペチカ。世間の優しさが(主に私の)心に沁みる。
そんなペチカのお話の裏で大きく動き始める世界、この物語のスケールがでかくてワクワクが止まらない!

ページを捲っていた時間はホント幸せでした…


残念ですが私はもうこの世界を見守り終わってしまいました。しかしまだこの本を知らない人が、ペチカやフィツの、この大きなお話の旅を引き続き見守ってくれることを願っています。